遂に開幕
今週末、9/12(日)は公式戦第1節、VS東京大学だ。
この1年間、苦しかった。
昨年11月末に怪我をし、1週間後に入院するまでの間に、VS一橋が行われていた。私はそれをインスタライブ中継で観戦していた。
シーソーゲームの末、上智に軍配か上がったときは心底嬉しかった。が、その一方、嫉妬や孤独感が渦巻いていたことも事実だ。やりきれない思いは拭いきれなかった。
足首が脱臼している状態で1週間放置されはしたが、無事入院することができ、手術も成功した。手術後恒例の麻酔切れによる断続的な激痛に耐えていた。ふとInstagramを覗いてみると、部員たちの一様な投稿が目に留まる。
一橋大学に勝利し、清々しい表情を浮かべた集合写真たちが次々に投稿されていた。彼らを全く責めるつもりはないが(笑)、あの時、「ああ…自分だけ時が止まっている。取り残されてるな。」と強く感じたことは覚えている。
退院直後、12月。花園、大学ラグビー選手権など、試合のTV放送が目白押しだった。
普段であれば、娯楽として、または勉強として必ず観戦するはずなのだが、それができない。
テレビの中の選手がステップやヒットをするたびに、自分の脳内にあるリトル高橋が同じことをしようとイメージする。そうすると、脳内で自分の右足はグニャングニャンに曲がり、地面に這いつくばるのだ。
コレには心をやられた。普段から夜寝る前のイメトレを欠かさない自分にとっては、死活問題なのである。悪いイメージが積み重なり、数ヶ月後の復帰がまるで不可能であるかのように感じる。
悪いイメージを抱かないために、ラグビー関連のことを日常から遠ざけた。そうすると自然に自分の心もラグビーから遠ざかっていった。
『おれ、ラグビー嫌いかもしれん』
何度もそう思った。
怪我がある程度治った今、お前はラグビーのことをどう思ってる?
そう聞かれたら、返答に詰まるかもしれない。
かつての走力は失われ、生きがいとしていたプレースキックはおあずけ、タックルはラグビー始めたての頃よりも怖い。
自信を持って好きとは言えない。
これが自分の答えだろう。
じゃあなんでラグビーやってるの?
これを認識してからは心が軽かった。
走れない、体をぶつけられない。ガラクタなりにも、チームの戦術なり、制度なり精一杯考えてこれたのは、自分が所属するラグビー部が上智だったからかもしれない。
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VS東大を目前に控える今、思うことがある。
俺、出ていいのかな?
ずーーっとリハビリをして、直前1週間で復帰してメンバー入り。
納得しない人がいるだろう、自分より良いヤツもいるだろう。そう思って、強とタツヤには
「他に使いたい奴がいたら、俺を無理にメンバーに入れないでくれ」と零した。
プライドの高い自分がこんなことを言うとは、自分でも驚いたが、それほどまでに強く自分を疑っていた。
それでも自分を出してくれようとした、強とタツヤ、そして北さん(監督)たちには感謝しかない。期待に応えたい。
そして、今、自分がメンバーに入っていることに納得がいかない人、その人たちの手のひらをかえさせること。やっぱ孝太がいると違ぇわ。その証明をすることが、自分のテーマだ。
昔みたいに、派手なことは出来ないかもしれない。それでも、ひたむきで献身的なプレーでチームを後押しする。常に気を利かせて、サポートにつく。これらをやり抜く。
己の弱さを知ることで、新しくできることがあると気づけた。俺は弱い、だから頑張る。
あと数日、東大に勝つことだけをイメージする。
今、自分の脳内にある自分は、足首から崩れることなく、縦横無尽に走っている。
RESTART
生まれて初めて骨を折ってから、今日で7ヶ月が経った。
当時を振り返ると、今でも苦虫を噛み潰したような顔になってしまう。人生で2度目の手術とはいえ、PCR検査で陰性と証明されるまで7日間は、足首が脱臼&骨折している状態で自宅待機。
やっとの思いで入院できたと思えば、両親も含め、面会禁止。看護師さんとの機械的な会話を除いて、0コミュニケーションの7日間を耐えた。正直、地獄だった。
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2021/6/23 (水) 天気:雨☔
身心ともに疲弊した私だが、半年のリハビリを経て、本日からスプリント(ダッシュ)が解禁された。
全盛期の80%程度のスピードしか出ないが、それでも
スパイクが芝生を蹴る感覚
加速に乗る身体
頬を伝い、滴る汗と、息切れ
久方ぶりに走れる喜びで心が踊り、犬のごとく走った。
「もう二度とラグビーができないのでは」とさえ考える時期もあったが、2020/11/22以来、初めて自分がピッチを駆けるイメージを持てたのだ。
心做しか、視界が彩り鮮やかになった気がして、柄にも無くグラウンド端で相当浮かれていたと思う。(こんな日記を綴っていることが何よりの証拠だろう。)
もう私には、停滞して良い時間なんてない。
今日踏み出したRESTARTを、歩みを、止めてはならない。
学生ラグビーができる残り僅か数ヶ月を、大切に、丁寧に、こぼすことなく、それでも足早に駆け抜けよう。そんな決意が生まれた。
練習中に降り出したニワカ雨は止み、私の再起を祝福するかのように、空は晴れ渡っていた。